<守り人>シリーズ……第一作「精霊の守り人」はアニメ化もした、
和製ファンタジーの傑作です。(アニメは未視聴)何年も前から気になっていたのですが、私が実際読み始めたのは2006年の末に軽装版が刊行されだしてから。現時点で第五作「神の守り人(上) 来訪編」を読了、帰還編を少しずつ読んでいます……が、やっぱり凄く面白い、うん。
元々児童書の主人公としては高年齢の、三十路の短槍遣いの用心棒・バルサが大好きでした。加えて、和製のハイ・ファンタジーの舞台に西洋風の世界が選ばれるものが多い中、文化人類学者でもある上橋先生の作り出すアジア風の世界観が非常にツボに嵌まりました。
三作目の「夢の守り人」まではどちらかというと一巻完結形式というか、一つ一つの物語が独立している印象を受け、その一つ一つが非常に完成度の高い、面白い物語なのでしたが……四作目の「虚空の旅人」に差しかかって物語世界がぐわーっと大きく広がるダイナミズムを覚えました。
それまで舞台になった新ヨゴ皇国、バルサの故郷であるカンバル王国、「虚空の旅人」の舞台となったサンガル王国……その上を行き来し生きる女用心棒バルサ、新ヨゴ皇国の皇子チャグムの旅路が、ロタ王国やタルシュ帝国といった周辺国の関係などが明らかになるにつれ、より大きな世界観の中で物語が大きく動き出したぞ、という感覚……それを覚えた瞬間、もうたまらなくなりました。
それまで楽しんで来た一つ一つの物語が、より大きな物語のうねりとなって動き出すのを目の当たりにする……こういうのがファンタジーの醍醐味、シリーズものの醍醐味なんだと思います。読んでて自分が凄いワクワクしてくるのがわかって、ページをめくる手が勝手に早くなる。こういう感覚を覚える作品は凄く印象に残ってずっと忘れられない物語になるんですよね……私が今まで読んだファンタジーの中では、
「十二国記」や
「流血女神伝」、
<勾玉>シリーズ、
「西の善き魔女」などを読んでいたときに覚えた感覚です。どれも私の中では傑作。(女神伝はまだ最後の物語「喪の女王」を読み終えていないのですが……)
それから、上橋さんの作品は主役から脇役に至るまで、
一人一人の登場人物が血の通った生身の人間であるんだなあと思わせるリアリティが凄い。 例えば「虚空の旅人」の主人公はチャグム皇子ですが、この物語は彼の物語であると同時に他の人物……ラッシャローの娘スリナァの物語であり、島守アドルの物語であり、サンガルの皇女である賢き女カリーナの物語でもある。とにかく一人一人の登場人物に確かな存在感があり、彼らの喜びや悲しみ、彼らの人生が読んでいてリアルに感じられるのですよね……それが実に素晴らしい、としか表現のしようがないのです。
とりあえず今は「神の守り人」の行く末を見届けなければ……と。
<守り人>シリーズを全部読み終わったら、今アニメ放送されている話題作
「獣の奏者」も読んでみたい……これも非常に面白いとの評判。楽しみ!